建築家のリノベーション

» 2019/08/11/

松田公彦のリノベーション


建築家

松田公彦

店舗[ 鳴門市]

鉄板焼きdining

Teko teko (テコテコ)

 

隠れ家的なくつろぎを提供する

鉄板焼き店「Teko teko」は、

以前は何もない倉庫だった!?

 

床材には深みのある美しさが特長の花梨の木を使用。「白を基調にした美容室みたいなイメージ」というオーダーを忠実に表現したところ、窓外に広がる庭の風景も含め、その爽快な雰囲気に魅せられたゲストが集う場所に。

床材には深みのある美しさが特長の花梨の木を使用。「白を基調にした美容室みたいなイメージ」というオーダーを忠実に表現したところ、窓外に広がる庭の風景も含め、その爽快な雰囲気に魅せられたゲストが集う場所に。



がらんどうだった倉庫から

鉄板焼き店へのリノベーション

 鳴門市大麻町の鉄板焼き店『Teko teko』。施工後だけに、写真だけ見れば真新しいように思えますが、実は造り酒屋の倉庫でした。それを、オーナーである伊庭さんのお母さんが購入して外装だけ手を加え、倉庫として利用。その後、鉄板焼き店として生まれ変わらせたという経緯のあるお店です。

 お母さんの想いもあり、外観はそのまま残すという条件付きだったために、「バランスを取ることを考えることからのスタートでした」という松田さん。かくして、倉庫から鉄板焼き店へのリノベーションが始まったのです。

 

“隠れ家”をコンセプトに、いかに心地良い空間にするか

 「コンセプトは“隠れ家的な”。でも、店に入ってみたらぼんやりと暖かな感じというか、ホッとできる雰囲気にしたかったんです」(オーナー)。

 話がしたい、美味しいお肉をゆっくり食べたい、という想いを大切にするというのが店を構える意義だというオーナーの話に、松田さんも共感しました。

 「店舗設計もいくつか手がけさせていただいていますが、結局のところ、ゲストがどれだけ心地良く過ごせるかが問題になってくると思っているんですよね。その証にこの『Teko teko』も、オーナーさんとしては使いづらい面があるかもしれません」(松田さん)。

ゲストにとっての快適性の追求が、

店にとっては使いづらさに!?

 どの点に“使いづらい面”があるのかというと、まずはカウンターキッチンがV字であるという点。内部にいて、カウンター越しに接客するにあたっては円形にすると最も動線を短くすることができるのですが、ここはあえてV字型に。そもそも、家庭的な雰囲気にするという時点で座席数を10席と少なめにすることは決まっており、また、どの位置からでも奥の窓外に展開されている庭園を望めるようにするためには、カウンターをV字型にする必要があったのです。

 また、フロアとキッチンに20センチ近い段差があることも、懸念のひとつではありました。しかしこれは、オーナーのたっての希望。

 「キッチンで立って調理するじゃないですか。で、調理する人が大きなコック帽なんかをかぶっていたら、ゲストにすごい圧迫感を感じさせると思う。私自身の背も大きいですし。だから、段差をつけた方が良いんですよ」(オーナー)。

 

使いづらくなんてない! 店にもゲストにも居心地の良いくつろぎ空間に

 「使いづらい? そんなことが気にならないくらい快適ですし、なにより、ゲストが居心地良さそうにしてくださっているのが一番。キッチンからバックヤードへの動線は使いやすいですし、“美容室みたいなイメージ”とオーダーした内装も、すごく爽やかで良いですし」。オーナーからは、すべての懸念が吹き飛んでしまうような賛辞の数々が飛び出すほどです。

 開店から2年。『Teko teko』は今や、その快適さから地元の熟年層たちも集えるお店となりました。その憩いの場を作り上げたのは、間違いなく建築家としての松田さんの手腕によるものと言えるでしょう。



before


「内部はほぼ何もない状態からのリノベーションでしたし、鉄骨造で躯体が強かったので、設計としては自由にできました」(松田さん)。

「内部はほぼ何もない状態からのリノベーションでしたし、鉄骨造で躯体が強かったので、設計としては自由にできました」(松田さん)。

外装自体は数年前にリフォームをしているため、またお母さんの思いや予算的な面からも、一切手をつけていない。お店へ行きたい方は、この外観を目印に。

外装自体は数年前にリフォームをしているため、またお母さんの思いや予算的な面からも、一切手をつけていない。お店へ行きたい方は、この外観を目印に。



after



木質感と凹凸のあるタイルとのコントラストが、面白い表情を見せるエントランス。店内は土足禁止のため、ここで靴を脱いで入店する仕様に。熟年層のゲストのために手すりを設置するなど、気配りも忘れない。

木質感と凹凸のあるタイルとのコントラストが、面白い表情を見せるエントランス。店内は土足禁止のため、ここで靴を脱いで入店する仕様に。熟年層のゲストのために手すりを設置するなど、気配りも忘れない。

基本的にはオーナーが一人ですべての作業を行うため、カウンター内はコンパクトに設計。「調理をしたり、洗い物をしたりもしません。すべてはゲストにゆっくり過ごしてもらうためと、松田さんと相談して決めました」(オーナー)。

基本的にはオーナーが一人ですべての作業を行うため、カウンター内はコンパクトに設計。「調理をしたり、洗い物をしたりもしません。すべてはゲストにゆっくり過ごしてもらうためと、松田さんと相談して決めました」(オーナー)。

大きな黒板をメニュー表とすることも、当初の計画から。黒板の裏がバックヤードになっており、カウンター内のキッチンとも行き来は楽々。奥にはオーナーの休憩室もあり、「将来はここに住もうかなと思ったり(笑)」。

大きな黒板をメニュー表とすることも、当初の計画から。黒板の裏がバックヤードになっており、カウンター内のキッチンとも行き来は楽々。奥にはオーナーの休憩室もあり、「将来はここに住もうかなと思ったり(笑)」。



伊庭さんの夢を叶えた建築家

[建築家]

松田公彦

 松田




設計コンセプト

「抽象的に構成されたアートギャラリーを髣髴させる非日常的な空間はコレクションをディスプレイするアートギャラリーとしての機能も持ち合わせる。オーナーの人柄も含め“いらっしゃい”より“おかえりなさい”が似合う隠れ家的な雰囲気を演出する」

 

設計のこだわり、苦労したところ

「元造り酒屋の倉庫を10席のみの鉄板焼ダイニングにリノベーション。隣接する和食店、手入れされた庭、南欧風の外観には手を付けず、扉一枚で隔てられた内部をいかに別世界にする。オーナー一人で切り盛りするため同線は単純かつ短く、また営業中は極力バックヤードでの作業を少なくする。10人のゲストに均等に接することができるよう、ゲスト同士の視線が合いにくいようV型とした」

 

建築データ

■構造・工法

 S造平屋建て

■敷地面積

 945m2(約286坪)

■延床面積

 合計 70.3m2(約21坪)

1階 70.3m2(約21坪)

■スケジュール 設計期間

 2012年3月~2012年6月

■工事期間

 2012年7月~2012年9月

■設計監理

 MATSUDA Kimihiko Studio

■施工

 真中工務店




松田公彦_図面

Teko teko 間取り

1 入り口

2 WC

3 洗面

4 倉庫

5 UB

6 洗面・便所

7 台所

8 店内

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