だから、平家。

» 2019/06/04/

野々瀬徹の平家


野々瀬徹の平家

東かがわ市・M邸

東かがわの家

 

本物の自然素材の美しさ

年月を経て磨かれる平家

 

性質の異なるゾーンをワンフロアの中に実現

 

 家づくりには「快適」「頑丈」「安全」など、基本となるさまざまなキーワードがある。その上に加えられていくのが、施主ごとに異なる要望だ。東かがわ市に建てられた平家であるM邸には、どのようなリクエストがあったのだろうか。

 「普段は大阪のマンションで暮らしているご夫妻の週末・長期休暇用住宅です。自然の中で落ち着いて過ごす住まいの設計を依頼されました」。

 施主は夫妻ともに大学教授にして研究者。退官後は老後を送る〝終の住処〞ともなるため、野々瀬さんが提案したのは、葉枯らし乾燥の木頭杉をふんだんに用いた平家だった。

 「もっとも苦労したのは設計の段階ですね。生活ゾーンと研究ゾーンを分けてほしいという要望をワンフロアで実現していく必要がありました」。

 試行錯誤の末、最終的なプランは、台所や浴室などの共用スペースを中心に、居間や寝室などの生活ゾーン、2人の研究室と書庫からなる研究ゾーンを配置したL字型デザインに決定。

各部屋は庭に向かって開かれており、美しい山の姿を望むことができる。

 「どんな家を創る時にも当てはまる問題ではありますが、特に平家は暮らしのゾーンの考え方で、生活の深みが大きく変わると思います」。

 この平家には葉枯らし乾燥の木頭杉のほか、彫りの深い本瓦、名人級の左官に依頼した土壁など、本物の素材が随所に使われている点も見逃せない。

 年月を経て美しさを増していくM邸。野々瀬さん自身の思い出にも残る一軒である。

 

リビングから和室2部屋を見たところ。右側の8畳間入口に見えるのは耐震壁。一見すると格子戸のようだが、あえて現しにするデザインで変化をつけ、空間を広く見せている。

リビングから和室2部屋を見たところ。右側の8畳間入口に見えるのは耐震壁。一見すると格子戸のようだが、あえて現しにするデザインで変化をつけ、空間を広く見せている。



緩やかな曲線を描くルーバーで玄関土間を曖昧に仕切る形に設計。光と風が自然に通り抜ける隙間を取り入れることで、廊下も心地良い空間の一つとなる。

緩やかな曲線を描くルーバーで玄関土間を曖昧に仕切る形に設計。光と風が自然に通り抜ける隙間を取り入れることで、廊下も心地良い空間の一つとなる。



すっきりとしたL字型のデザインと屋根の本瓦、土壁の佇まいが美しいM邸。向かって右側の縁側が設けられた方が生活ゾーン、左側が研究ゾーンとなる。

すっきりとしたL字型のデザインと屋根の本瓦、土壁の佇まいが美しいM邸。向かって右側の縁側が設けられた方が生活ゾーン、左側が研究ゾーンとなる。

 

設計コンセプト

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「大阪のマンションに居住する大学の教授夫妻の週末、長期休暇住居です。大都市での日常生活から解放されて、自然豊かな環境の中で、休養と落ち着いた研究に取り組める住居がご希望でした。木頭杉の大断面の無垢材をふんだんに使って大らかで美しい平屋建て住宅を提案しました。ほっこりとぬくもりのある家にするために、外壁は香川の土をつかった特注の塗り壁を名人の左官さんにお願いしました。屋根は彫りの深い重みのある本瓦葺きとしています。築後17年を経て木の香りがする熟成された良い雰囲気の家になっております」(野々瀬)



建築データ

■ 家族構成 : 施主・妻

■ 構造 : 木造

■ 工法 : 在来軸組工法

■ 敷地面積 : 609m2( 約184.5坪)

■ 延床面積 : 合計 189.53m2( 約57.43坪)1階 189.53m2( 約57.43坪)

■ スケジュール :

設計期間 1997年10月~1999年4月

施工期間 1999年5月~2000年3月

■ 設計監理 : 野々瀬建築都市設計事務所

■ 施工 : 六車工務店



M邸間取り

① 玄関

② 玄関ホール

③ WC

④ 浴室

⑤ 洗面室

⑥ ユーティリティ

⑦ 納戸

⑧ 食品庫

⑨ 台所

⑩ 居間・食堂

⑪ 和室6畳

⑫ 和室8畳

⑬ 広縁

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【情報掲載日/2016年11月25日】

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