トピックス

建てようネットの新着情報&お知らせ

» 2019/01/25/

2019年2月号[特集 清水裕且]


建てようネット[徳島]新登録建築家を知るシリーズ

特集 清水裕且

a feature on hiroaki shimizu

環境デザインワークス

15年目を迎えた建てようネット[徳島]。これまで以上にマッチングの精度を高めるため、新たに2名の個性的かつ実績豊富な建築家を登録しました。今号は、環境デザインワークスの清水裕且さんの建築美学を紐解きます。清水裕且さんに設計を依頼してみたいと思った方は、ぜひ建てようネットのライブラリーまでお越し下さい。

gazou1

【モットー】

情熱を持って!!

【プロフィール】

1975年生まれ、血液型A型、かに座。東京理科大学理工学部土木工学科卒。徳島の建設会社勤務後、独学で建築の世界へ。一級建築士。

【私の家づくりの考え方】

「ハレ」と「ケ」。「非日常」と「日常」。

◎店舗など非日常の空間は「ハレ」の世界と捉え、エンドユーザーであるお客様に、その空間やそこで過ごした時間をいかに印象付けられるかを考える。残像や残響、余韻といったものを大切に。それに対し家は基本的に「ケ」の世界だと捉える。

◎家というのは日常を包み込むもの。奇をてらったデザインでなく、飽きがこない普遍性を持ったものにしたい。そして、明日への歩みのために休まる場所でなくてはならない。家というのは住むところ。哲学者ベンヤミンは「住むということは痕跡を残すことである」といった。生きた痕跡が刻み込まれ、時とともに美しくなる=「古美(ふるび)る」ものにしたい。例えば・・・。歌でいえば童謡「赤とんぼ」、衣でいえば「普段着」、食でいえば無農薬の「白ごはん」。そういう家をつくりたい。

【自身の作風について】

作風というのは今までに体験した空間や建築哲学から無意識のうちに影響を受けていると思う。オスカー・ニーマイヤーは「建築とは発明である」と言ったが、そうではなく「建築とは発見である」の方が正しいのではないか。過去に新しい答えの99パーセントがある。それを発見し、その時の条件に即して自分なりの表現にすることが建築設計だと思う。だから作風というのは作為的にそれをつくっている場合を除き、意識の外によるところが強いため、自分ではなかなか言葉で表現することが難しい。




新登録建築家・清水裕且の建築美学

47460501_194228048147755_3974602133453406208_n

深い思想から、感動を創り出す。

ハングリー精神が成長の原動力

 有名建築家・安藤忠雄氏が設計したビルの3階に、清水さんの事務所はある。壁一面に設置された本棚には、あらゆるジャンルの書籍がぎっしりと並べられており、彼の知識欲の高さを感じずにはいられない。

 「建築家になるのが遅かったので、コンプレックスがあるのかもしれないですね。その分、建築に対してすごくハングリーだと自分でも思います」。

 中学生の頃から建築の専門誌を読んでいたという清水さんが、建築家を目指したのは30歳を過ぎてからのこと。建設会社の現場監督として安定した収入を得ていたが、心のどこかでくすぶっていた建築家への思いを断ち切ることはできなかった。

 会社を退職後に失業保険を得ながら猛勉強し、わずか数カ月で一級建築士試験に合格。2009年に『環境デザインワースクス』を設立し、建築家としての道を歩み始めた。

 建築デザインのベースとなるのが『ハレとケ』、つまり日常と非日常の使い分けだ。お客が訪れる店舗は非日常の要素を取り入れながらインパクトのある空間に。そして、家族の日々を支える住宅は、日常の中に存在する心地良さを追求する。「住宅はあまりカッコ良すぎると、カッコ悪くなる」という清水さんの言葉の中にも、その建築哲学が潜んでいる。

世界の名建築が教えてくれたこと

 毎年のように海外に足を運び、有名建築を見学するのも彼のハングリー精神を物語るエピソードの一つだ。すでに20カ国以上を巡り、実物の存在感をその目に焼き付けてきた。急がしい時間を縫い、なぜそれほどまでに世界の名建築を見て回るのか。そこには明確な理由がある。

 「カッコ良く言えば〝感動〟を探しに行くんです。実物を見ることで、写真集では決して感じることのできないスケール感や、その土地だからこそ成立するデザインを感じることができる。僕が〝和〟を意識するようになったのも、海外の建築物を見て回った結果です」。

 建築家の形や色だけを真似ても決して良いデザインにはならない、というのが清水さんの考え方だ。人を感動させるために必要となるのが哲学。毎年のように行われる彼の旅は、建築家が残した〝哲学〟を吸収するための旅でもある。

 「その場所にいるだけで、鳥肌が立つような建築物も世界にはあります。いつかはそんな建築も手掛けてみたいし、日常を豊かにする住宅にも、さらに磨きを掛けていきたい」。

 最近では、通信制大学で哲学の勉強を本格的に開始したという清水さん。常に自分自身の好奇心と向かい合い、驚くべきスピードで成長し続ける彼の今後に目が離せない。

 

 

WORKS

清水裕且さんが設計した代表作品

-----------

新築

A社セミナー棟

■完成/2016年12月

■施工/神原建設

設計コンセプト

「セミナーをするための無柱空間を実現させるために構造は木造トラスとした。外壁には焼スギを使い、打合せスペースには坪庭を隣接させ、工業団地内でヒューマンスケールの癒しの空間になることを目指した」(清水)

鉄工所のセミナー棟だったが、あえて木造建築にすることを提案。工業地帯の中に、平屋の低いプロポーションと焼き杉の外壁が映える。

鉄工所のセミナー棟だったが、あえて木造建築にすることを提案。工業地帯の中に、平屋の低いプロポーションと焼き杉の外壁が映える。

 無垢材の温かみに包まれた会議室。上部をトラス構造にすることによって、木造建築でありながら柱のない大空間を生み出している。

無垢材の温かみに包まれた会議室。上部をトラス構造にすることによって、木造建築でありながら柱のない大空間を生み出している。

————————————————————-

改築

A-office

■完成/2018年4月

■施工/司工務店

設計コンセプト

「道路側に大開口のガラスを設け、街に開こうとした。床仕上げや垂壁、照明などによって、長方形の対角線上に視覚的境界線を作り、打合せ空間と執務空間の適度な距離感を作った。視界を対角方向に誘導することによって、広く伸びやかに感じる空間を目指した」(清水)

倉庫を不動産会社の事務所としてリノベーション。執務室と打ち合わせ室をゆるやかに仕切る斜めのラインが、デザイン性と開放感を高めている。

倉庫を不動産会社の事務所としてリノベーション。執務室と打ち合わせ室をゆるやかに仕切る斜めのラインが、デザイン性と開放感を高めている。

お客様との契約作業などを行う会議室。これまでの不動産会社のイメージを一新させ、訪れる人々をワクワクさせるようなデザインを施している。

お客様との契約作業などを行う会議室。これまでの不動産会社のイメージを一新させ、訪れる人々をワクワクさせるようなデザインを施している。

 

————————————————————-

 

改築

Door!

■完成/2017年7月

■施工/ビジェント

設計コンセプト

「クライアントの食に関する多くのアプローチに対応できる機能を空間に反映させていきながらデザインを進めた。下階の厨房とカウンターの関係性。上階に設置したキッチンの位置。この2つがデザインの肝となった。機能の最大公約数を求めた空間構成となった」(清水)

メゾネットタイプの間取りを活かし、キッチンや食事スペースなどを効率良く配置した。壁一面に貼り付けられたアンティークドアが印象的。

メゾネットタイプの間取りを活かし、キッチンや食事スペースなどを効率良く配置した。壁一面に貼り付けられたアンティークドアが印象的。

無垢の床を用いた上階の食事スペース。ガラスの引き戸によって調理スペースを仕切るなど、多目的な使い方に対応している。

無垢の床を用いた上階の食事スペース。ガラスの引き戸によって調理スペースを仕切るなど、多目的な使い方に対応している。

————————————————————-

 

改装

Bar Dining ARELY

■完成/2011年9月

■施工/長田工務店

設計コンセプト

「Barと聞いていちばんにカウンターのイメージが頭をよぎった。そこで要望であった『なんとなく和を感じられる』雰囲気をこのカウンターで表現しようと思った。カウンター、テーブル、床には県産スギを用い、荒々しく削り取ったコンクリート壁と対比させた」(清水)

当時はまだ駅前に飲食店が少なかったため、県外客を想定して空間をデザイン。県産材を用い〝和〟を感じさせるカウンターテーブルを配置した。

当時はまだ駅前に飲食店が少なかったため、県外客を想定して空間をデザイン。県産材を用い〝和〟を感じさせるカウンターテーブルを配置した。

荒々しさを残した壁とオリジナルデザインのテーブルが見事に融合した店内。テーブルの素材には建築用の垂木を使い、コストを抑えている。

荒々しさを残した壁とオリジナルデザインのテーブルが見事に融合した店内。テーブルの素材には建築用の垂木を使い、コストを抑えている。

 

建てようネット旧トピックス
建てようネット旧ブログ