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徳島の建築家が考える木造建築

WOODEN_ARCHITECTURE_01
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徳島ヴォルティス クラブハウス

■徳島の建築家が考える木造建築
[施設編 #004]

[クラブハウス(事務所)]
施設名/徳島ヴォルティス クラブハウス
所在地徳島県板野郡板野町犬伏瓢谷2-22(徳島スポーツビレッジ内)
設計・監理/有限会社 内野設計
施工/株式会社 亀井組


■「徳島ヴォルティス クラブハウス」について
~建築家・内野輝明より~

3.11以降、徳島で何ができるかを考えてきた。
まず「仮設住宅試行」を構造材と板壁のみで建ち上がる板倉構法でつくった。板材の産地徳島での常に乾燥させながら積んでおく備蓄の仕組みが、福島の仮設住宅への迅速な材料供給を可能にしたと聞いていたからである。

続く「先行高地移転試行」では既存の峠道に沿って連なる細長い建築群をつくった。東南海・南海地震が起これば、復興の動きから取り残されるであろう徳島県南部の漁村でのこのプロジェクトでは、当初から木材備蓄の可能性に着目した。

柱材だけで建築ができれば重機は不要。柱材だけ備蓄すればよく、さまざまな寸法の部材を必要とする従来の在来軸組構法に比べて備蓄は格段に容易になる。備蓄する期間で天然乾燥材ができるとなれば、「日常の林業の振興策が非常時の仮設住宅の供給をスムーズにする」ことにつながる。

現場では、上部木造部分の持ち出しを、一期の方杖から、二期では柱材を交互に積み重ねる重ね梁構法として工期をぐっと短縮できた。

「徳島県応急仮設住宅」と「木材備蓄倉庫」では重ね梁で屋根をつくり、土台から屋根まで完全に柱材のみによる建築ができた。
さらに中規模木造建築を柱材だけで建てられたら、備蓄の輪はより大きく広がる。多くの柱材が備蓄倉庫にあれば、避難生活を支える応急仮設住宅のみならず、復興期のさまざまな施設の建設に回すこともできる。

これまでの取り組みは規模を問わずすべて平屋であったが、このクラブハウスは2階建て、延床面積約1,000平米。2021年春に過去最大の四寸角の純柱材建築として竣工を迎えた。


■建築データ

敷地面積/64,169.03平米(約19411坪)
延床面積/993.02平米(約300坪)
規模/木造2階建て
最高の高さ/10.03m
軒高/8.04m
地域地区/—
主体構造/木造
基礎/鉄筋コンクリート基礎
屋根/ガルバリウム鋼板タテハゼ葺き
外壁/ガルバリウム鋼板タテハゼ葺き、一部杉板張り
建具/鋼製建具、木製建具
内部仕上げ/杉構造材現し、杉板、構造用合板
設計期間/2019年9月~2020年8月
工事期間/2020年8月~2021年3月


■建築家 紹介
建築家:内野輝明さん
内野輝明
Uchino,Teruaki

有限会社 内野設計

所在地/徳島県徳島市万代町5-71
tel.088-626-9567

【所属】
日本建築家協会、日本建築学会、徳島県建築士事務所協会、
徳島県建築士会、木質構造研究会、木の建築フォラム

【プロフィール】
1986年 大阪工業大学卒業
1986~90年 山本西原建築設計事務所
1990~91年 海外視察
1991~92年 埴淵建築設計室
1992~99年 髙﨑正治都市建築設計事務所
1999年 内野輝明建築設計事務所設立
2005年 有限会社 内野設計に改組

【受賞歴】
第29回INAXデザインコンテスト金賞
日本建築士会連合会第8回まちづくり大賞
2016年日事連建築賞「奨励賞」
awaもくよんプロジェクト最優秀賞

■木造建築への思い

現場に行ってワクワクするのはなんといっても木造です。林の中にいるかのようにすがすがしい気分になります。杉材にふんだんに含まれるフィトンチッドのせいか、そもそもいい香りがして何とも言えず癒されます。

10年ほど前に木造建築についてみんなで学べる場をつくろうと始まったとくしま木造建築学校で、山の人、製材の人、木製品を作る人、研究者、先生、木造好きな設計者や工務店の方などいろいろな立場の方と知り合いになり、教えてもらい、みんなの知恵がつながって木造建築ができあがっていくことを知りました。

現場で、大工さん、建具屋さんや家具屋さんら木工職人のみなさんの技を見せてもらったり、みんなや監督さんと一緒に納まりを考えたりする時間は本当に楽しい。

伐採ツアーに参加して林に入って杉に楔を打ち込んで、倒れるときの大きな音を聞き、年輪を数え、またその山々をはなれた所から見渡してみると、何十年というサイクルで人の手が入った自然の大きな循環の一部が建築になっているんだなあと実感します。

今、80年生を超えるような大木が売れません。
それをどのように建築化していくのかを考えるのは我々建築家の使命だと思います。

木造建築には伝統構法、在来軸組構法、枠組壁構法他、さまざまなやり方がありますが、これと決めつけずに、山の状況を知る人たちとともに考えていく必要があります。

例えばこの10年間に建てられるべき木造建築は、次の10年では変わっているかもしれない。

みんなでやわらか~く考えて、いろいろな木造建築を建てて、徳島をもっと木造化していきましょう。
(建築家 内野輝明)

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