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徳島の建築家が考える木造建築

WOODEN_ARCHITECTURE_01
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(株)日新四国工場 社員休憩所

■徳島の建築家が考える木造建築
[施設編 #002]

[休憩所]
施設名/(株)日新四国工場 社員休憩所
所在地徳島県小松島市横須町5-38
設計・監理/島津臣志建築設計事務所
企画/株式会社ヒトカラメディア
施工/株式会社 坂本工務店
写真/米津 光


■「日新四国工場 社員休憩所」について
~建築家・島津臣志より~

木造建築には欠かせない合板を製造している『株式会社日新四国工場』の社員休憩所の建て替え計画。築50年を超える鉄骨平屋の休憩所が老朽化していたのを機に、24時間稼動の工場で働く従業員が質の良い時間を過ごせるような休憩所をつくりたいと設計の依頼があった。

無機質なスレート葺き鉄骨造の工場が建ち並ぶ中に、徳島すぎを使った居心地のいい木造建築をつくることとした。

また、古い休憩所では、広いワンルーム空間に従業員が入れ替わり立ち替わり様々な過ごし方をしていた。食事をしたり、テレビを見たり、ソファで休んだり、談笑したり――。

自由で混沌とした使い方を踏襲しながらも、めいめいの休憩時間をより快適に過ごせることを念頭に置き、クライアントからの要望を整理した結果、大きさと性格の違う3つの休憩室を配置することとした。

100人参加の全体会議をする一番大きな休憩室は、8間×6間を無柱空間とするために杉材のトラス梁を用いた構造現しの空間とした。

その他には個室ブースを備えた部屋、畳小上がりのある部屋がある。

これら3つの休憩室をそれぞれ独立させるために、T型の半屋外通路を設けたが、これにより、工場、事務所、駐車場の3方向からの動線処理も解決した。

また、この通路には、桜を目の前にできるベンチを設けており、4つ目の居場所をつくることができた。

ルーティーンになりがちな毎日において、その日の気分によって過ごす場所を選び、リフレッシュして仕事に取り組んでもらえたらと願っている。


■建築データ

敷地面積/59,6004平米(約180291.2坪)
延床面積/462.83平米(約140坪)
規模/地上2階
最高の高さ/7.8m
軒高/7.43m
地域地区/工業地域
主体構造/木造
基礎/布基礎
屋根/ガルバリウム鋼板タテハゼ葺き
外壁/ジョリパット左官仕上げ
建具/スチールドア、アルミサッシ
内部仕上げ/[床]モルタルコテ押え、ビニルフロアタイル、和紙畳
[壁]ビニルクロス
[天井]構造材現し、ビニルクロス
設計期間/2018年4月~8月
工事期間/2018年9月~2019年3月


■建築家 紹介
建築家:島津臣志さん
島津臣志
Shimazu,Takashi

島津臣志建築設計事務所

所在地/徳島県名東郡佐那河内村下字中津5-7
tel.088-602-7730

【所属】
日本建築家協会、徳島県建築士会

【プロフィール】
2000年 専門学校穴吹カレッジ 建築デザインコース卒業
2002年~2010年 建築設計事務所 蔵
2010年~2014年 有限会社 内野設計
2012年 島津臣志建築設計事務所設立

【受賞歴】
2020年 第33回日経ニューオフィス賞 四国ニューオフィス推進賞
(株)日新四国工場社員休憩所

■木造建築への思い

店舗や施設の設計において、求められる用途、規模、コスト、法規等を考慮して、合理的に木造にたどり着くこともあれば、人がくつろぐ場所だから木に囲まれた居心地のいい空間にしたいという情緒的なやり取りを経てたどり着くこともある。

前者と後者を行ったり来たりしながら、設計がある程度進んだときには、すでにどちらが出発点だったかわからなくなっていることも多い。

自分自身はこれまで、後者の想いが強く、木造を建てることを考えてきた。

現在、進行中のプロジェクトに建築で使用する製材を、県内の山から切って、乾燥させ、製材にするまでの一連の流れに関わろうとしているものがある。

これまでの自分の仕事においては、現場で合流するまであまり意識していなかった流れである。こっち側とあっち側のふたつの流れを気にかけながら進めている。

自然の中で生きている木を扱う以上、こちらの思い通りにいかないことがあると頭では理解していたが、伐採時期など想像以上に山側と建築側の細やかな調整が必要なことがあるのを知った。

これまで、林業や山のことを学ぼうと、山に入って話を聞いてきて、少しずつ理解しはじめていたが、このプロジェクトによってさらに山のことが見えてきた今、建築家として、山とまちをつなぎ、人の営みを支える木造建築をつくることで、建築家として次の世代へより良い風景を残すことに寄与したいと考えている。
(建築家 島津臣志)

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